SPIRITUALITY IN SCIENCE
第4回 時間と空間をつつみ込む力
スピに造詣が深い物理学者の周藤丞治さんが、高次の世界についてやさしく解説してくれる本連載。超ひも理論は、重力を研究する中で現れた仮説であることから、前回、ニュートンが発見した重力の性質を説明してくれました。
次に重力の秘密を解き明かしたのは、あのアインシュタイン。彼が発見したブラックホールの不思議を今回、お話しいただきます。
文◎周藤丞治さん 構成◎編集部
時間と空間は切り離せない
アインシュタインが1915年に発見した重力の理論は、一般相対性理論と呼ばれます。難しいものの代名詞のようにもいわれますが、内容を簡単にいうと次のようになります。
物質や光は、エネルギーを持っています。そうしたエネルギーが存在すると、その周りで時間の進み方や空間の広がり方が変わります。時間の進み方や空間の広がり方が変わると、私たちには重力があると感じられるのです。
たとえば、重力が強い地球上と重力が弱い人工衛星では時間の進み方が違うので、たがいに通信するときは、その違いを考えてやり取りする必要があります。時間はどこでも同じように進むものではなく、空間と切り離して考えることはできないのです(図1 )。
スピリチュアルな情報として、高度な文明を持って宇宙を旅する宇宙人は時計を使わない、という話を聞いたことはあるでしょうか。時計は空間から時間を切り離す道具ですから、重力が強いところも弱いところも通る宇宙旅行には役に立たないのでしょう。
アインシュタインは相対性理論を作るにあたって「目に見えない存在が教えてくれた」という言葉を残しています。彼に教えたのは宇宙を旅する宇宙人だったかもしれませんね。
時間と空間が入れ替わることも
そうはいうものの、時間と空間はやっぱり違うと思われる方も多いでしょう。実際、空間では立ち止まることができますが、時間を止めることはできません。
ところが、重力が非常に強いところでは、時間と空間の役割が入れ替わることがあります。つまり、
空間で立ち止まることができず、時間は止まってしまう。じつはブラックホールと呼ばれる重くて小さい星の近くでは、そういう現象が起きるのです(図2 )。
2015年、アインシュタインが理論を発見したちょうど100年後に初めて、ブラックホールが衝突・合体したときに発生した、重力の波動(重力波)が観測されました。その後、ブラックホールの研究が急速に進んでいます。
時間と空間は入れ替わることがあるのですから、切り離して考えることはできませんよね。高次元世界の物理学である超ひも理論でも、時間と空間は切り離さずに扱います。おそらく物質世界も精神世界も含めた、極めて高次元の世界から見ると、時間と空間は区別がつかないものだろうと、私は考えています。
もともとひとつであった時間と空間をつつみ込んでいるのが、重力なのかもしれません。
物理学者
周藤丞治さん
Profile
すとうじょうじ◎高次元世界の存在たちとの交流や、科学者、哲学者、宗教者、経営者たちとの分野を超えた対話から得られてきた、大宇宙に関する理解や新しい文明構築のヒントを、関
心ある方々に向けて発信するために活動している。著書『いざ高次元世界へ』『9次元からの招待状』(ともに、きれい・ねっと)。
※当連載記事は、2023年9月号に掲載した記事を一部改定し、転載したものになります。